写真

被写体との向き合い方

少し想像してみてください。

あなたは今日、ポートレートを撮ります。
相手は女性。
お互いの休日を合わせて、ロケに出かけます。

さて、事前にどんなことを考えておく必要があると思いますか?

・撮影時間や光の向き
・ロケ場所の下見
・交通費の確認
・小物や衣装の準備
・バッテリーの予備
・SDカードの容量

…こんなリストが真っ先に浮かんだ人、多いんじゃないでしょうか。

もちろん、これらは全部大切です。
でも、個人的な作品撮りにおいては、ここで考えが止まってしまうと、かなり高い確率でうまくいかないと思っています。

あくまでも僕の持論ですが。

ちょっと待ってください。
気づいていませんか?

休日に + 女性と + 時間を合わせて + 出かける

これって……

デートじゃないですか?

「いや、デートしろってこと?」
そう思った方、違います(笑)

言いたいのは、「デートをするように、相手をエスコートする気持ちで臨んでほしい」ということです。

機材チェックやロケ地調査は、当然やっておくべきこと。
当日になって焦ってドタバタするのは、それだけで印象が悪くなります。

なぜエスコートの意識が大事なのか?
答えはシンプルで、

相手は人で、あなたも人だからです。

だからこそ、コミュニケーションが何より大切。
言葉のやり取り、相手への配慮、気遣い。
そういうものが問われる場が、ポートレート撮影だと僕は思っています。

1. 撮影当日までに、相手との距離を少し縮めておこう

慣れてくると、初対面からでも楽しい撮影ができるようになります。
でも最初のうちは、事前のコミュニケーションにしっかり時間をかけるのがおすすめです。

InstagramなどのSNSでモデルさんとコンタクトを取るとき、
僕はわりと積極的に自分の情報を開示するようにしています。

名前、ブログ、どんな写真を撮っているか。

そうすることで相手は、

「この人はどんな考えを持っているんだろう」
「価値観は合いそうかな」
「どんな作品を撮る人なんだろう」

…と、会う前に判断できるようになります。

相手が「この人と一緒に作品を作りたい」と思えるかどうかを、事前に確かめてもらえる。
それって、お互いにとって大切なことだと思うんですよね。

チャットやDMのなかで「僕はこういう作品を作りたい、あなたはどんなイメージがある?」と問いかけることも大事です。

作品は1人では作れません。
一緒に作っていく過程そのものが、信頼関係を育てる時間になるんです。

2. 事前準備が8割。ルートや場所は頭に入れておこう

何度も言いますが、撮影を口実に本当にデートしないでくださいね(笑)

「撮影のデートコース」とは、その日歩く場所の特性を把握しておくということです。

チェックしておくといいこと:

・トイレの場所
・コンビニの場所
・カフェや休憩できるお店
・おしゃれな雑貨店やフォトスポット
・天気と光の向き
・建物が多いか、緑が多いか

これ、よく見てください。
デートのプランニングと、ほぼ同じですよね。

相手が何を必要としているか、どこで疲れるか。
そういう視点でルートを考えておくと、当日ずっと余裕を持って動けます。

3. 清潔な身だしなみを忘れずに

当日、出発前に一度鏡を見てみてください。

清潔感はありますか?
その場に合った服を着ていますか?

「作品で勝負だ」という気持ちはわかります。
でも、まず会うのは人です。

身だしなみを整えている人と整えていない人。
どちらに好感を持てるかは、言わなくてもわかりますよね。

中身で勝負するためにも、見た目を整えることは最低限の礼儀だと思っています。

4. 紳士的に、丁寧に向き合おう

いよいよ当日。緊張しますよね。
僕も初めての方には緊張します。

でも、それでキョロキョロしたりおどおどしてしまっては、せっかくの空気が台無しです。

会ったらちゃんと目を見て挨拶。
「今日よろしくお願いします」と、爽やかに。

歩きながら撮影するなら、相手のペースに合わせてください。
ヒールを履いていたら、歩くスピードを落とす。
少し時間が経ったら、「カフェ寄りますか?」と声をかける。
飲み物を買ってさりげなく渡す。

こういう小さな気遣いが、相手の心をほぐしていきます。
そしてそれが、写真の表情に直接つながるんです。

その副産物として「いつも優しいよね」「また撮ってほしい」と言ってもらえることがありますが、それはデメリットでもなんでもないですよね。

撮影の終わりに「今日楽しかった、また撮りましょうね」と言い合えたら、それが一番の成功だと思います。

最後に

ここまで読んで、「写真の技術の話がないな」と気づいた方もいると思います。

そうです、意図的に書いていません。

技術より先に、大事なことがあると思っているから。

被写体はモノじゃない。
一人の人間です。

その人を自分の作品のために道具のように扱ってしまったら、写真に何も宿らないと思っています。

あくまでも僕の持論ですが、人を敬えない人に、本当の人物写真は撮れない。

僕たちは1人で写真を撮っているんじゃないんです。
目の前にいる誰かと、一緒に作っているんです。

あなたの撮影が、そういう時間であれたらいいなと思っています。

いい写真ライフを。

岡本祥平

プロフィール写真家

岡本 祥平

16歳のころ、スナップ写真を撮るアルバイトがカメラとの本格的な出会いでした。24歳で開業し、以来10年以上、人物写真ひと筋で撮り続けています。

得意なのは屋外でのロケーション撮影。話しながらその人の一番いい瞬間を自然に切り取ること。雑多な街並みの中でこそ、その人らしさが滲み出ると思っています。

ファインダー越しに、一番素敵なあなたを撮れるように。それだけを考えています。

八王子出身。バイクとキャンプが好きで、普段はマーケティングの仕事もしています。人生でやりたいことは「葬式をパーティーにする」「恋人の個展を開いて死ぬ」「小中学生にお金と人生を教える塾を開く」。

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