僕はいつものようにカメラバッグと自分のバッグを持って外に出た。
今日は名刺のクライアントの撮影日だったからだ。
実は25日はその後に人と会う予定もあったが、結局来なかった。
まぁ予感はしてたし。もうそういうことじゃないなって分かってるから1時間ちょっとだけ待って家路に就く。
肩に確かな重みがあって、その中に無骨なカメラが収納されている。
ふと思った。
僕に「もしカメラが無かったら」。
僕はどうしていたのだろうと……。
僕とカメラの出会いは「130万画素」である。
PHSの写メで僕は写真に触れていた。当時僕はPHSのカメラで夕日を撮るのが好きだった。
「130万画素」だ。きちんと露光するにもコツがいるし、10分間ほどは動けない。
余程暇だったから出来たんだろうと思う。
僕の写真との出会いは「写るんです」を除けばこれが最初。
それから幾何かして、高尾山でアルバイトが始まる。リフトの中腹で待っていて写真を撮るバイトだ。これが僕の2番目の写真とのふれあいだった。最初は初心者にも関わらず忙しさにかまけて教えてもらえなかった。
でも専門用語は飛び交うから、僕は覚えるしかなかった。6年間、そのバイトを続けることで僕の基礎はできていった。
そして3番目の触れ合いが大学2年の時。アマゾンで型落ちのEOS KISS X3を買ったときだ。ダブルズームきっと。名前がカッコいいからこれにした。
最初は撮る対象がわからずに、飲み会や旅行ばかり撮っていた。
そして時間を早送りして、大学卒業し、僕が新卒でADをやり、それを諦めた8月の出来事。僕は迷っていた。
「さて何をやろう」
そのまま就活を続けるのは違う気がした。なんか同じことを繰り返している気がした。
だから思った。「好きなことをして生きよう」と。
それが僕にとっての4番目の写真との触れあいだった。これが一番長い写真との付き合いになる。
ここまでがダイジェスト。感情とか抜きで書いてみた。
僕はもうすでに8年ほどは写真と触れ合っていることになる。特に学校に行くのでも、スタジオを経験したわけでもないが、自分なりに触れにいっていた。
僕はこれから何を得て、学んだろうとおもった。そして考えた末に3つ思い浮かんだので書こうと思う。
■人の心を学んだ
写真は人の心を写す
馬鹿だと思うだろうか?そんなもの撮れるわけもないしお前の勝手な思い込みだろうと思うだろうか?
確かに思い込みなのかもしれないけど、いかんせん、その人のありのままを第三者の目線で撮れるのが写真という代物である。それは撮影者の人間性を通して、まっすぐその人のことを捉えて離さないのだ。
その人が何に悩み、何を得たいのか。
どういう人間になりたくて、その人の何が本当に「素敵」なのか。
写真はそう言ったものを映し出す。
写真は時間を切り取るからである。
僕は写真を通して初めてちゃんと人と向き合った。
そして色々なことを知った。人のトラウマを知ったし、人の誇りを知った。
人の美しさも、人の醜さも知った。
写真を通すことで僕はありのままのその人と対峙することができた。
■沢山の友人が出来た
僕が写真をやったことで交友関係が広がった。
そしてどんどん僕もアグレッシブに動いていくことで、どんどん僕の中の「世界」は広がった。
最初はほんの小さな世界が、いつの間に友達の友達は僕のことを知っているまでになった。そしてその多くの人たちは、僕のことを支えてくれた。
例えば先日の落ち込んだ時だって、真っ先に僕に言葉をくれたのも、カメラを通して知りあった人が多かったと思う。
僕はカメラから世界を見る。そしてカメラから通じた世界から沢山の友人を得た。
■ライフワークを知った
僕はいつも自分のことをこう形容する。
「もしも僕の魂にアイコンがあったとするならば、それはきっとカメラの形をしている」と。
それくらいに僕にとってカメラはかけがえのないものだ。
僕がこれを通じて伝えたいことは、
世の中のすべての頑張っている女性へ。
「アナタは本当に綺麗なんだ」と伝えること。
そして僕の大切な人へ、
「僕に好きになることを許してくれてありがとう」と伝えていくこと。
僕の想いや愛を受け入れてくれた人たちへ、
本当にアナタは素敵なんだと伝えていくことが、写真家としての僕のテーマ。
どこどこのスタジオとか、芸能人は誰を撮ったとかは関係なく、
僕はただ、目の前の僕に関わってくれた人たちとのご縁を紡ぎたい。
それが写真という活動ならば、僕の生きる意味は写真である。
そう思うから。死ぬまで、一生続けること。それが僕のカメラだ。
■もしもカメラが無かったら
多分僕は死んでいるだろうと思う。
意味もなく使命もなく、ただ時間に流されて生きていると思う。
カメラとの出会いが、僕に様々な出会いをもたらしてくれた。
愛を教えてくれた。
ファインダーを通して愛おしい人を撮るときの至高を教えてくれた。
「出逢えてよかった」と心から感謝したい。
僕にとってカメラは命だ。心臓だと思う。
大好きな人だけを撮りたいから、僕は今を頑張るんだと思う。
本当にカメラに出会えてよかった。
そんなことをふと、カメラの重さを感じながら考えたのであった。
特にオチは無い。
おしまい。
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